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当エントリーは銭湯関連エントリーの第2回目です。初回のエントリー【東京湯族(Tokyo 湯 tribe) 【1】古銭湯探訪とその魅力】にて古銭湯探訪のきっかけを記しています。



それでは前回のエントリーでも書いたように、訪れた際に特に感動を覚えた銭湯をデータ化していこうと思う。
始めに銭湯のデータを書く前の留意点など 。



・東京の古銭湯は日々消滅しています。ものすごい勢いです。これから当ブログで書き残していく銭湯もいつ入浴できなくなってしまうか分かりません。もし興味を持たれて訪問を考えた方は営業曜日や営業時間などを事前に確認してから訪問されることをお勧めします。
・参考までに以下URLは板橋区の公衆浴場組合が情報提供してくれているページです。この中に廃業してしまった板橋区の銭湯情報があるのですがその情報によると銭湯最盛期だった昭和40年前後から現在までに板橋区内だけで130件が廃業したとなっています。営業当時の画像リンクも数点あるのですがその中には魅力的な銭湯が多数見られます。残念な気持ちで一杯になります。多分コレは浴場組合に登録された店舗の情報でしょうから実際に消滅してしまった銭湯はもっと多いでしょう。それほど銭湯は現代社会に必要とされていないともいえます。
■板橋区公衆浴場組合ホームページ内 「幻の銭湯一覧」
http://www010.upp.so-net.ne.jp/TK1010-itabashi/framepage9.html
・銭湯や建物の専門用語などはエントリーの最後でまとめて行っています。より深く掘り下げたい方はそちらもご確認いただければ一気に世界観が広がります(笑)。
・俺の銭湯の楽しみ方は雰囲気、情緒などを重視するタイプです。少々年季が入っていようとも、使い勝手が良くなくても、湯(浴槽)の数が少なくてもその銭湯の過去が見えてくるようなものであればそれを良しとしています。
・一人静かに湯に浸かりたい気分のこともありますが、大概はそこに通う方々とのコミュニケーションを期待しています。俺は常連の方と会話ができたり番台の奥さんと会話ができることを喜ぶタイプです。
・そんなわけで湯の「水質」や「効能」という部分に関しては知識もないためふれる事は少ないです。




『俺基準』は概ねこんな感じだ。
それでは以上の様な嗜好で判断されたいい銭湯を記録に残していこう。


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★『久保の湯』

東京都北区上十条2-8-16


北区上十条「久保の湯」


古銭湯の魅力を気づかせてもらった場所。もうここには個人的な思い入れが強くあるため冷静な判断はできていないのだが、とても地元感にあふれており魅力がコンパクトにつまった良い銭湯だと感じている。自分の中では現在でも特別な場所だ。JR十条駅から程近い住宅街にあり、メインの通りから少し路地を奥に入らないと見つけることはできない。なお、前回のエントリーで使用しているのれんが掛かった銭湯入り口の画像はここ、久保の湯のものである。銭湯内に入る前に見事なシンメトリーも楽しんでおこう。

これは特に久保の湯に限ったことではないが前述のように東京の銭湯、なかでも古銭湯はいつ無くなってしまうか分からない。常に「この場所を体験できるのはこれが最後になるかもしれない」という事を頭のどこかに置いて空間を楽しんでいきたい。
この上十条という地域ももともとはすぐ近くに陸軍の軍事施設(現・自衛隊十条駐屯地)やその関連工場、また民間の製紙工場や光学機器工場などがあり、労働者が多い地域であった。過去にはそういったお客さんであふれていたのだろうが、現在はお客さんもまばらである。


久保の湯外観  久保の湯、横からの眺め


久保の湯外観3  久保の湯外観4


久保の湯のディテール05  久保の湯外観6


久保の湯ディテール01  久保の湯ディテール02


お客さんの大半は近所の人、脱衣場の広告は十条や王子ローカル広告といった地元の波動がガツンと伝わってくる。千鳥破風(※1)の造り、ピカピカしている折り上げ格天井(おりあげごうてんじょう)(※2)、大黒柱の柱時計、年季の入った体重計や扇風機など古銭湯の魅力がぎゅっとつまっており昭和の雰囲気が色濃く残っている。また縁側と庭(池)があるのも嬉しい。銭湯に行く習慣の無い方にはちょっと色が"濃すぎる"かもしれない空間である。


北区久保の湯_見事な格天井


この天井が「折り上げ格天井」。左右のRを描いている天井部分のことを『折り上げ』というのだそうだ。


久保の湯ディテール04  久保の湯ディテール05


大黒柱には立派な柱時計。
窓は木枠ではなくアルミのサッシに変更されている。梁にあるポスターを見れば王子の「王子シネマ」や中十条の「篠原演芸場」のポスター。古臭いポスターをわざと集めて昭和の雰囲気を作っているのではない。どちらのポスターも現行の広告である。これがこの地域のリアルなのだ。2010年のポスターのはずなのに周囲からういていないのは全くもって見事。


久保の湯ディテール06  久保の湯ディテール07


久保の湯の体重計  美しい扇風機


好きな人にとってはこの空間はミュージアムのようにも写るだろう。浴槽も2つしかない小さな地元密着の銭湯ではあるが「よくぞここまで生き延びてくれている」という感覚で捉えると、過去をそのまま体験できているような錯覚に包まれる。このAsahi社製の扇風機から発せられる波動はどうだ。
服を脱ぎながら、こういったポイントやピカピカの折り上げ格天井を眺めるのが良い。


久保の湯ディテール08
※上記の入浴料は2010年10月2日現在のものです


そんな雰囲気を楽しみながら洗い場に向かう。

ここには都内ではやや珍しい深い浴槽がある。熱めの深湯に中腰で浸かりながら洗い場の空間やペンキ絵を楽しもう。


風呂からあがったら当然縁側で・・・・


久保の湯の縁側


こうだ。


池を見ながら脱力


見栄をはったりカッコつけたりする必要の無いこの場所での脱力はとても心地好いと思うのだ。


久保の湯の坪庭  縁側から見た久保の湯の内側


ソファー前のテーブルに置かれている週刊誌のセレクトも非常にリアル。


久保の湯、テーブルの雑誌


ハァー、痺れるな~(笑)。間違ってもdancyuやMONO Magazineは置いていない。


脱衣場の男湯と女湯を仕切る鏡の上にあるガラス板のローカル広告も必見。これを残してあるところに大きな意義がある。


久保の湯のガラス広告1  久保の湯のガラス広告2


向かって一番左の絵に至ってはもはや広告ですらなく単なるイメージイラスト。なんてドリーミー!見事な心理操作アドである(勝手にそう思いこんでいるだけですけれど)。どなたか女湯サイドのガラス広告もアップしてくれませんか?(笑)

入り口は番台からフロントタイプに作り変えられている。(※3)


銭湯足跡残しのお約束「オレインザミラー」で久保の湯のシメ。名入りの鏡がまた見事。


オレインザミラー北区久保の湯



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なお余談となるが、この久保の湯と、古くから十条にある大衆酒場として居酒屋界では有名な「斉藤酒場」は徒歩で5分と離れていない。斉藤酒場で一杯やってから久保の湯のコンボは十条の魅力を深く感じることのできるコースだと思う。(もちろん泥酔状態で銭湯はダメですよ。あくまでホロヨイで。はい。(笑)


十条「斉藤酒場」  十条「斉藤酒場」
※この日は煮こごりをアテにヒヤ酒。この一枚板の年季の入った木テーブルを一人で独占できている状況は非常にめずらしい。というか奇跡。


また、呑まない人でも十条にあるいくつかの商店街を歩けばその町の雰囲気から十条っぱさが十分感じられる。こういった部分も味わうことでよりいっそう久保の湯のありがたさが感じられるのではないだろうか。



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[用語解説]

エラそうに書いてるけど以下のような言葉は俺も最近覚えたばかり。まだまだ知らない事が多い状態です。日本建築文化、銭湯文化は深いですね。


※1 千鳥破風(ちどりはふ)
破風とは簡単に言うと屋根が合掌している三角の部分の造形を指す。千鳥はいくつかある破風の形式の一種。
この部分のこと ↓

破風

詳しくはウィキをドウゾ。
■wikipedia 「破風」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A0%B4%E9%A2%A8

※2 折り上げ格天井(おりあげごうてんじょう)
古銭湯では脱衣場の天井にある、伝統的な寺社建築で見られる天井の様式。格子状に木組みして天板を張る。「折り上げ」とは壁と天井の接合部分に作られる曲線を持った形状。この折り上げ部分があると俺のテンションが更に上がる(笑)詳しくは以下をドウゾ。
■wikipedia 「天井」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A0%BC%E5%A4%A9%E4%BA%95
■丸平建設株式会社 ホームページ内 語句解説「折り上げ格天井」
http://www.maruhei-takumi.com/faq/faq026.htm
こちらのURLは岐阜県にある寺社仏閣を扱う建設会社へのリンク。コチラの格天井の説明がとても分かり易かったのでリンクを貼らせていただいた。

※3 フロントタイプ、番台タイプの入り口の違いについて
フロントタイプと番台タイプの入り口の違いを簡単に説明すると、お店の方がどちらを向いて客を迎えるかかが異なっている。フロントタイプは昨今の銭湯に多いタイプで玄関方向(店の外側)を向いたフロントカウンターでお客さんを迎えてくれる形が多い。たいてい脱衣場の外側に作られる。一方番台タイプは脱衣場の内側に設けられ、お店の方は店の中心(脱衣場、湯船のある方向)を向いてお客を迎えてくれる。番台タイプの場合、店の方が男女両側の脱衣場を見渡せる造りになっている。古銭湯であっても久保の湯のようにエントランス部分だけ番台からフロントタイプに作り変えている銭湯もある。




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