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改めて言うが俺は散歩を趣味としている。

毎年4月頃から10月頃のいわゆる散歩オンシーズンの休日で、誰かと会う約束をしていない時にはたいていどこかに出歩いている。

年に何十ヶ所と散歩に出向くわけだが、ワンシーズンに1度か2度、自分の感性にガチッとハマり、感動のあまり涙を流してしまいそうになる散歩というものにぶち当たる場合がある。
その時、その瞬間、その場所に自分が存在していたことは偶然ではなく、必然であったと思えてならない散歩というものが存在するのである。(ただしこんな主張はなかなか他人様には共感してもらえない(笑)

今回記録に残すのもその「感動のあまり涙を流してしまいそうになった散歩」のひとつである。
時は2007年9月22日(土)の出来事。物語は文京区は小石川、地下鉄丸の内線の茗荷谷(みょうがだに)駅から始まる。


茗荷谷ってどこ?
※茗荷谷ってのはこの辺り。早稲田に近い。


その日もいつもの週末のように、どこに散歩に行こうかと思案していた。

以前にも少々触れたことがあるが散歩エリアを決める場合、出発前から明確に「ココ!」と決めてその場所に向かう場合と、特に目的を持たず歩行中の思いつきやひらめきでルートを選択していく場合がある。そのどちらもそれぞれに魅力を持っており、甲乙をつけるような類のものではない。
この日は明確に行きたいエリアがなかったため後者のパターンを選択し、なんとなく茗荷谷駅に降り立っていたわけである。


茗荷谷駅から散歩開始


地下鉄駅構内から地上に出たところで地図を取り出し周辺をチェック。
100メートルと離れていない位置に「教育の森公園」なる公園があるようだ。まずはそこから攻めてみようか、とさっそく足を公園方向に。お、遠くに公園らしきスペースが見えてきましたよ。


教育の森公園


きっちりと整備された近代的な公園ですね。俺基準で判断するならば魅力は今ひとつ。


教育の森公園風景


教育の森公園入り口にて辺りを見回してみると・・・・


文教の名は伊達じゃねぇ!


筑波大学に放送大学のキャンパス。ほう、それで教育の森公園ってワケですか。ほほぅと、さすがの文京区っぽさに納得しつつ公園を進んでいきます。(文京区は教育を重んじる区。文の京、文を教える文京区(文教区)というのは区が推し進めているコンセプト)

100メートルほど坂道を下ったでしょうか。なにやら看板が見えてきました。


占春園とな?


ほう、占春園とな?なになに?自然観察園で、区民にも公開とな?ならば行ってみるでしょう。と占春園内部に足を踏み入れます。

って、おほーっ!


占春園その1


急に森。

土の匂いにうっとりしながらちょっとした探検気分で更に奥に進んでいくと・・・・


占春園その2


不意に池。

自然観察園という肩書きに納得。コンクリートで固められていない池にはきっといろんな生き物がいるんでしょうね。魚とか水生昆虫とか、またそれらを狙う鳥とか。近くの小学生たちが自然学習授業に使う場所なんですね。

でもまあ、5分も歩けば最深部に着いてしまうような広さですし、基本的に通路をそれて動き回れるわけでもないのであっという間に探検は終了。悪い雰囲気ではありませんでしたがそれ以上のものは何もない場所でした。




さて、この日の散歩が『感動散歩』となっていくのはここからです。

占春園に背を向け、散歩を再開します。

この日は9月も半ばを過ぎたというのに残暑が厳しく、2007年夏シーズンを締めくくるにふさわしい天気だったことも俺のうかれ気分に拍車をかけていたのでしょう。

じりじり照りつける日差しの中、タオルで汗をふきふき歩いていきます。
ふと見上げれば入道雲に深い緑。うーん、良い情景だ。いいねぇ・・・・・・。


シーズン最後の入道雲


ってあれ?ココなんだか樹木が多すぎやしませんか?明らかに街路樹レベルでは無いですねぇ。

なんだろうこれは?と思い、きょろきょろ周りを見回すと・・・・

ありました。街区表示板。
現在位置を確認してみると、


文京区街区表示板


むむむ?なんだこの緑の一画は?


文京区街区表示板拡大



「小石川植物園」と書いてありますね。

ふむ。持っていた散歩用地図を開いて確認してみると・・・・
あった。小石川植物園か。なるほど。

文京区白山は大学時代によく訪れていた地。なじみのある地域ですがこんな所に植物園があるとは知りませんでした。しかも地図上で確認してみるとその敷地は東京ドーム3つ分程もあるじゃないですか!広い、かなり広い!とても興味をそそられます。
※東京ドームのある後楽園とこの小石川は2キロと離れていません。地図上でも同じページに載っていました。なお、東京ドーム横にある庭園の「小石川後楽園」とこの「小石川植物園」はまったくの別物ですので訪問される際にはお間違えなきよう~。


植物園って言うからには一般人でも入れるハズだよな?と入り口を探しながらしばらく歩いていると、


小石川植物園入場口


あった。ここだわ。
へえ~。小石川植物園と名はついているけど東京大学の管理する施設のようですね。

入り口の建物にいるおっちゃんに聞いたところ一般公開を行っている施設だとのこと。よしよし。330円を支払って・・・・

「コンニチハー」と園内に歩みを進めていくと・・・・


小石川植物園入り口付近


うお!?緑が深いっ!


園内に入った瞬間、それまで歩いてきた文京区の雰囲気は一瞬にしてどこかに吹き飛びました。
なんだここは?どこだここは?東京都文京区白山から一気にどこか別の場所に迷い込んでしまったかのような錯覚。まさにロストインザガーデン。


バショウも俺をお出迎え


さすがに植物園だけあって東京の日常生活では目にしない植物であふれています。そんな風景がこの日の散歩の非日常感に拍車をかけます。


小石川植物園のヒトコマ3


訪れていたときはちょうど彼岸花のシーズン。辺りにはこの花の様子を楽しむ老夫婦の姿。

少し歩くとどんどん植物が変化していきます。
ヤシ、ソテツ、メタセコイア・・・・・うむ、東京でこんな種類の植物を初めて見たよ。

小石川植物園のヒトコマ4


多分、このとき俺の脳内では活発な化学反応が起きていたのでしょうね。ドーパミンとかアドレナリンとかそういうヤツです。見る風景がどれも美しく思えます。
当初からこの植物園を知っており、「ヨシ、今日はコイシカワ植物園だ!」と狙って訪れたのであればこのような気持ちにはなっていなかったでしょう。予備知識が何も無い状態で訪れたからこそ目に飛び込んでくるものにいちいち衝撃を受けてしまいます。

園内の北東サイドに向かい、坂をぐぐっと上っていくと並木通りが見えてきました。


小石川植物園のヒトコマ5


おお!ソメイヨシノの並木道!こりゃ桜の季節はさぞかし素敵なんでしょうな。もちろんこの時は9月ですから桜は咲いていませんがこれは良いポイントを知りました。


小石川植物園ソメイヨシノ


「今度は桜の季節に来てみよう」と心に決め、ゆっくり園内を進んでいきます。

桜並木を進んでいくとなにやら建物が見えてきましたよ。なんでしょうかね?


小石川植物園のヒトコマ6


お~っ、売店発見!こんなにネイチャーを体感できる環境の中に売店も設置してくれているとはなんと至れり尽くせりなサービスでしょうか。ナイスだぜ植物園管理団体!

茗荷谷駅の散歩スタートから歩き続けてかれこれ1時間半ほど経過しています。ちょいと休憩して一息入れましょう。

売店のベンチからは「さあ、ゆっくりくつろいでくださいね。」といったメッセージが聞こえてきそうです。心ニクイ演出がなされています。


小石川植物園売店にて


あはは。居心地がいいですねぇ。

しばしこのベンチを楽しんだのち、もう一杯アイスコーヒーを購入し、それを持ったまま売店を後にします。


小石川植物園売店にて2


園内をどんどん進んでいくとガラス張りの温室も発見しました。生憎この日は温室公開日ではなかったため内部までは見学できませんでしたが公開日に来ることができればまた素敵な南国植物の情景を見せてくれていたのでしょうね。


小石川植物園のヒトコマ7


そんなことを考えながら、歩みを進めると今度はツツジの遊歩道です。ゴールデンウィークくらいにここに来れば見事なツツジ風景を堪能できるんでしょうね。


小石川植物園のヒトコマ8
※地平線の方向を見てもビルは視野に入りません。


と、ここにに来てハタと気がつきました。360度あたりを見回してもビルなどの人口建造物が一切目に入らないのです。

例えば、俺が好んで足を運ぶ「六義園」にしろ「浜離宮恩師公園」にしろ、視野のどこかにビルやマンションが見えてしまい、都内であるという現実に引き戻されてしまう瞬間があるのですが、ここ小石川植物園の内部に入り込むとそういったものが遮断されるのです。
森の中に迷い込んでしまった感覚と表現すれば良いのでしょうか?もう完全に文京区だという認識は無くなっていました。現実逃避するにはもってこいの場所ってワケです(笑)


このあたりまで歩いてきてもまだ園内の60%を見た程度。やはり小石川植物園はかなり広いです。

ここには書ききれていませんが、ブナやコナラといった広葉樹の林があったり、松や杉といった針葉樹の林があったりと2~3分歩くごとに様々な緑の風景が展開されていきます。


小石川植物園のヒトコマ9


広葉樹の林を抜けて先に進むと、少し小高く丘のようになっているところにあずま屋を発見しました。
いいですね~。ここらでもう一休みしましょう。


小石川植物園のヒトコマ10


あずまやに腰を落ち着け、丘の上から眼下を見下ろしててびっくり!

こりゃなんという感動的なビューでしょうか!

ここに至るまでの間に小石川植物園は既に俺のオキニイリポイントとして認定(笑)されていたのですが、ここから見たこの風景によってその気持ちは決定的なものとなりました。完全に打ちのめされたそのビューというのが下の画像になります。


小石川植物園絶景ポイント


長く東京に暮らしていながら、15年目にしてやっとこの風景との出会いに至ったワケです。散歩マニアから言わせていただくと「思いつきの散歩」最大の魅力というのはやはりこういった部分にあると思うのですよ。「意図せずに体験できてしまった感動」というのでしょうか。はい。

今日という日に小石川植物園に足を踏み入れ、この風景を目にできたという経験ははたして偶然なのか?必然なのか?運命ってのは何なのか?未来に起こる出来事はもう既に決定されているのだろうか・・・・?うわー深い。深いですよ。予想だにしなかった方向への感情のシフト(笑)

そんな取り止めのないことを考えながら、この風景に胸を貫かれ、動けないまま30分ほど放心状態であずま屋に座ってボーっとしていたでしょうか。

なんとか我を取り戻し、再び移動を続けます。


小石川植物園のヒトコマ11


丘を下ると林のような樹木の茂ったエリアは終了。
手入れされた庭のようなゾーンに入ります。


小石川植物園のヒトコマ12


池のある周辺は日本庭園のような趣もあります。


小石川植物園のヒトコマ13


このあたりには梅の植えられたエリアもあり、早春に足を運べば日本の情緒をより強く感じることができます。


※参考までに
下の画像は2008年の3月8日に小石川植物園を訪れた際のものです。ばっちり梅シーズンでした。

小石川植物園の梅


丘を下り池のエリアまで来れば植物園出口も間近。
来た道を振り返れば下の画像のようなパノラマが楽しめます。
秋に来て紅葉の中に身を置くのも気持ちがよさそうですね。


小石川植物園のヒトコマ14


文字通り「東京のど真ん中」にこんなチルスペースがあったとは。のんびりと、ボーっとした時を過ごしたい、そんな目的をもっている場合にはとてもオススメできる場所です。特に東京に暮らしていて「地方に行って自然を楽しむほどの時間的余裕が無いんだよなぁ」という方にはもってこいじゃないでしょうか?お弁当をもってランチを楽しみつつゆったりした時間に身を任せるなんて、とても有意義な時間の使い方だと思います。

特にこれからのシーズンは見ごろとなる植物であふれています。植物が芽吹く春ですもんね。梅や桜はその代表格ですよね。

調べてみたところ、小石川植物園のホームページにはたくさんの植物の開花状況や見ごろを伝えてくれるカレンダーがありました。
参考になさってみてはいかがでしょうか?以下は外部リンクとなります。


◆東京大学大学院理学系研究科附属植物園(通称:小石川植物園)メインページ
http://www.bg.s.u-tokyo.ac.jp/index.html

▽園内植物花暦
http://www.bg.s.u-tokyo.ac.jp/koishikawa/kaika/ennai_koyomi.html

▽園内植物画像(見ごろの植物画像がたくさん貼ってあるので重いっす)
http://www.bg.s.u-tokyo.ac.jp/top/top-photos2.html


植物園におもいきり心を揺り動かされ、至福の時を過ごした2007年9月の散歩でした。
小石川植物園万歳!(笑)

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おまけ

小石川植物園の出口付近にはこのような建物があります。


東京大学総合研究博物館


東京大学総合研究博物館なるものでした。
もともとは本郷の東大キャンパスにあった建物を移築して博物館としたものだとか。
内部には生物学を中心とした歴史を感じさせる展示がたくさんありました。


東京大学総合研究博物館2

東京大学総合研究博物館3

東京大学総合研究博物館4

東京大学総合研究博物館5


さほど大きくは無い建物ですが休憩スペースもあるため、雰囲気を味わいながら一息入れるのには良いかもしれませんね。


東京大学総合研究博物館6


建物の中から植物園を眺めるってのもまたいい趣でした。


東京大学総合研究博物館7

参考までにURLをば。



◆東京大学総合研究博物館(小石川分館)
http://www.um.u-tokyo.ac.jp/exhibition/annex.html



  またねー!
東京大学総合研究博物館8


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